予防歯科では、歯が痛くなってから治療するのではなく、痛くなる前に虫歯や歯周病などの歯の病気を予防します。
そのためには、自宅で行うセルフケアと歯科医院でのプロによるケアの両方がとても大切です。

8020運動

8020運動(ハチマルニイマル運動)をご存じでしょうか?
日本歯科医師会が推進している、80歳になっても20本以上自分の歯を保とう、という運動のことです。このように、現在日本では予防歯科の重要性が見直されています。
セルフケアだけでは、歯と歯の汚れを完全に取り除くことができません。歯と歯の間や歯と歯茎の間などに、どうしても歯ブラシの毛先が届かなくて磨き残しが出来てしまうからです。磨き残しはやがて歯垢になり、時間がたつと歯石に変わります。歯石は歯ブラシで取り除くことは出来ない上に、表面がデコボコしていますので、細菌の恰好の棲みかになり、新しい歯垢もつきやすくなります。これがむし歯の大きなリスクになります。
取り除けなかった汚れを専用の機器を使用することで、口腔内がきれいになり、細菌の数が減ることで、むし歯や歯周病にかかりにくい良い環境が整います。
8020運動

予防歯科って何するの?

むし歯や歯周病の予防は、ご自宅でのセルフケアと、プロフェッショナルケア(歯科医師や歯科衛生士によるケア)の両方を行うことで効果が得られます。
プロフェッショナルケアとは歯科医院で行う予防処置のことであり、当院ではPMTC(プロによるお口のクリーニング)を中心に行います。歯磨きだけでは取り除くことのできない歯石や歯垢を取り除き、清潔な口内環境を作ることができます。
「歯」は身体の組織の中で唯一再生しない組織です。削ったり抜いたりすると、元には戻らないのです。歯の治療は大切なことですが、健康な歯を保ち、自分の歯を守る『予防歯科』はとても重要です。
予防歯科

PMTCとは

やわらかいゴムのチップを使って、クリーニングでは取りきれない入り組んだ部分のバイ菌(バイオフィルム)を取り除く方法のことを言います。
カルシウムのナノ粒子で歯のエナメル質を補てんすることで従来自然治癒しないと考えられていた初期虫歯を治すことが可能です。施術後は歯の表面が極めて滑らかな状態にトリートメントされるため、バイ菌を付着しにくくする効果を持っています。また、PMTCには歯の着色を予防する効果もあり、利用される方が増えた人気の治療方法です。
3か月程度で効果が落ち始めますので、その都度処置を施していきます。
PMTC

予防歯科で必要なセルフケア

歯科医院で定期的にクリーニングを受けるのなら、毎日の歯磨きは少し手を抜いても大丈夫なのでは?と思う方がおられますが、それは間違いです。歯科医院でのクリーニングは3~4ヶ月に1度ですので、それまでの間はご家庭でのセルフケアをしっかりと行い、むし歯や歯周病になりにくい生活習慣に変える必要があります。
セルフケアや新しい生活習慣とは以下のようなものです。

  • 決まった時間に規則正しく食事をとる。できるだけ間食をしない。
  • ダラダラと長時間食べずに、短時間で済ませる
  • 就寝中は唾液の量が少なるなる為、寝る前は何も食べないようにする。
  • 歯磨きは食事後30分以内に行う。

予防歯科でメンテナンス(定期検診)のメリット

①年齢を重ねるほど、歯の残数に差が出る

予防歯科先進国のスウェーデンでは90%以上の人が歯の定期検診やメンテナンスを行い、定期的に歯のクリーニングを受けていることによって、70歳になった時も歯を残すことができています。
それに比べて、まだまだ予防歯科が普及していない日本では、残念ながら失う歯のほうが多くあります。
ご自分の歯を守り、1本でも多くの歯を残すためには、定期的な検診やクリーニングが重要になってきます。

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②将来的に歯科治療にかかるお金が少なくなる

痛くないのに定期検診に通うのは、受診の度にお金がかかるから、トータルで見るとお金がかかっているんじゃない?と思われる方もいると思いますが、実は定期検診に通っている方がトータルの歯科治療費を抑えることができます。
例えば、一度むし歯になり小さい詰め物をした後、

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  • 通院しなくなった場合・・再治療を数年ごとに何度か繰り返すことになります。その度に歯を大きく削り詰め物も大きくなり、治療のための費用も高くなってしまいます。
  • 通院していた場合・・一度詰め物をしたまま現状維持し続けることができます。何かあれば早期発見できて、悪化する前に治療が可能ですので、治療時間・回数・費用をトータルで抑えることができます。そして、なにより患者さん自身が痛い思いをする回数も少なくなります。

③すっきり感と見た目も艶やかに

歯科医院での歯科衛生士による歯のメンテナンスを行うことにより、口腔内がとてもすっきりして、歯の表面もツルツルして、お茶やコーヒーによる歯の着色も落ちてきれいになります。

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④フッ素塗布

フッ素は、歯を硬く強くし、むし歯になりにくくするためのお薬です。
方法はフッ素を歯の表面に塗ります。フッ素塗布は定期的に塗布することが有効です。
毎日食事をとるからには脱灰は避けられません。しかし、フッ素を常に口内に存在させ、歯に吸収させ続けることで、再石灰化を促しむし歯になることを予防できます。

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よくある質問

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こちらは非常に多く質問を頂いております。この情報については多くの誤解が含まれており、実験の条件が実際の口の中とは条件が異なります。結論としては、これまで通り食後はすぐに歯磨きをすることが推奨されます。詳しくは当スタッフへお聞きください。

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歯ブラシは一般的には月1 回程度は変えるようにしましょう。目確認する方法だと、ブラシの後ろから見て毛先が左右にはみ出ている場合には取り替えたほうがいいです。

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ご自身のセルフケアにはどうしても限界があり、磨き残し(プラーク)は毎日溜まっていくからです。プラークは2週間で歯石になり始め、歯ブラシでは落とせなくなります。なので3ヶ月~半年に1回歯科医院を受診し、虫歯や歯周病の原因となる磨き残しや歯石をキレイにすることをおすすめしております。

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PMTCは痛くありません。
お口の中がスッキリして、気持ちが良いものです。PMTCでは専門家が特殊な器具を用いて丁寧にお口の中をクリーニングします。歯石除去とは違い、器具が歯肉に触る時の痛みや麻酔なども必要ないため、なるべく痛い思いをしたくない方は、是非PMTCを活用して下さい。

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プラークとは歯垢のことです。プラークが石灰化し、石のように固くなり、歯の表面にこびりついたものが歯石です。プラークも歯石もどちらも食べかすではなく、細菌の塊です。これらが虫歯や歯周病の原因になります。